特定非営利活動法人HANDS11年03月21日 on 【支援活動・団体】
特定非営利活動法人Health and Development Service (HANDS) は、保健医療の仕組みづくりと人づくりを通じて、世界の人びとが自らの健康を守ることができる社会を実現したいと考え、世界各地で活動しています。
2000年1月に、国際保健医療協力を行うNPOとしてHANDSを立ち上げました。私たちは、日本人の医師や看護師が医薬品をもって途上国の農村で治療するのではなく、どんな国にも医師や看護師がいるので、彼らが自国の人びとの健康を守る主役になれるような活動をしたいと考えました。そのために、途上国の保健医療システムのマネジメントや保健医療人材の養成に重点をおいた活動を行ってきました。
2001年に開始した、ブラジル・アマゾン河支流にあるマニコレ市のプロジェクト活動。「市」といっても、九州ほどの面積にわずか4万人の人口で、遠隔地コミュニティから市街地への交通手段は船だけ。果てしなく広がるアマゾンの森と河に囲まれて、人びとは小さな集落を作って暮らしていました。
病気になったからといって、すぐに病院や診療所で診察が受けられる状況ではありません。治療ではなくて、「予防」が重要です。私たちが注目したのは、すでにブラジルに存在していた「コミュニティ保健ワーカー」。彼らは医師や看護師などの専門職ではなく、川沿いの村に暮らすふつうの住民です。保健医療に関するトレーニングを受けることによって、マラリアやデング熱といった病気への理解が深まり、妊産婦や小児への保健指導ができるようになり、血圧計や体温計を使って高血圧の患者に指導できるようになりました。
住民が保健ワーカーの仕事ぶりに信頼を寄せるようになると、住民の保健衛生に関する意識も高まりました。自分の家にトイレを設置したり、飲料水を消毒や煮沸したりする家庭が激増しました。村で孤軍奮闘している保健ワーカーをサポートするために、HANDSのブラジル人スタッフは遠隔地のコミュニティを数日かけて船で訪問します。そして、保健ワーカーの相談にのり、適切な技術的アドバイスをするブラジル人スタッフをとりまとめているのが、マニコレ市に在住する唯一の日本人、HANDSの定森徹プロジェクト・マネジャーです。
このような地道な活動を通して培われた住民、保健ワーカー、市の行政機関、ブラジル人スタッフとの信頼関係に基づいて、いま、プロジェクトは地域保健の枠を超えて、学校保健、栄養改善、アグロフォレストリーと広がっています。地域で暮らす人びとの生計や教育といった生活全体を健康の視点から支援しています。
途上国の人びとが主役となり自国の人びとの健康を守ることのできる仕組みづくりと人づくりをめざした活動は、インドネシアでも根付きつつあります。ホンジュラス、スーダン、エジプト、ケニアでもHANDSの活動が始まり、新しい仲間とともに、気長に仕組みづくりと人づくりに取り組んでいきたいと思っています。
これまで、HANDSの活動は、外務省、国際協力機構(JICA)、国連人口基金、(財)国際開発センター、(株)システム科学コンサルタンツ、トヨタ財団、(株)味の素など多くの企業や行政機関に支えられてきました。私たちはいま、単に国際保健医療協力の成果を発表するだけでなく、市民の方々、企業や医療機関の皆さん方とのパートナーシップのなかで、私たちが抱えているグローバルな課題も共有したいと考えるようになりました。
例えば、HANDSが主催した「第6回母子手帳国際会議」(2008年11月)では、母子手帳を途上国のお母さん方に配布するだけでは効果が乏しく、助産師や看護師が適切な指導を行ったときに母子手帳の効果が大きくなるという議論がありました。途上国で母子手帳プロジェクトを成功させるためには、農村や漁村にも母子手帳の使い方を説明できる人材が必要になります。「人づくり」と言葉にするのは簡単ですが、全国規模でそのような人材を育てるのは大変なこと。一つのNPOだけで完遂できる仕事ではありません。
企業が蓄積してきた人づくりや組織づくりのノウハウ、大学が構築してきた留学生や研究仲間のネットワーク、国連機関やODA機関が保有するグローバル課題に関する膨大な情報などを、お互いに共有できたとき、NPOとしてのHANDSの活動もより広い世界に羽ばたいていけると思います。
少しでもHANDSの活動に関心を持っていただけたら、どうぞ気軽に事務局までご連絡ください。皆様方の忌憚ないご意見やご助言を待っています。
特定非営利活動法人HANDS 代表理事 中村安秀
2000年1月に、国際保健医療協力を行うNPOとしてHANDSを立ち上げました。私たちは、日本人の医師や看護師が医薬品をもって途上国の農村で治療するのではなく、どんな国にも医師や看護師がいるので、彼らが自国の人びとの健康を守る主役になれるような活動をしたいと考えました。そのために、途上国の保健医療システムのマネジメントや保健医療人材の養成に重点をおいた活動を行ってきました。
2001年に開始した、ブラジル・アマゾン河支流にあるマニコレ市のプロジェクト活動。「市」といっても、九州ほどの面積にわずか4万人の人口で、遠隔地コミュニティから市街地への交通手段は船だけ。果てしなく広がるアマゾンの森と河に囲まれて、人びとは小さな集落を作って暮らしていました。
病気になったからといって、すぐに病院や診療所で診察が受けられる状況ではありません。治療ではなくて、「予防」が重要です。私たちが注目したのは、すでにブラジルに存在していた「コミュニティ保健ワーカー」。彼らは医師や看護師などの専門職ではなく、川沿いの村に暮らすふつうの住民です。保健医療に関するトレーニングを受けることによって、マラリアやデング熱といった病気への理解が深まり、妊産婦や小児への保健指導ができるようになり、血圧計や体温計を使って高血圧の患者に指導できるようになりました。
住民が保健ワーカーの仕事ぶりに信頼を寄せるようになると、住民の保健衛生に関する意識も高まりました。自分の家にトイレを設置したり、飲料水を消毒や煮沸したりする家庭が激増しました。村で孤軍奮闘している保健ワーカーをサポートするために、HANDSのブラジル人スタッフは遠隔地のコミュニティを数日かけて船で訪問します。そして、保健ワーカーの相談にのり、適切な技術的アドバイスをするブラジル人スタッフをとりまとめているのが、マニコレ市に在住する唯一の日本人、HANDSの定森徹プロジェクト・マネジャーです。
このような地道な活動を通して培われた住民、保健ワーカー、市の行政機関、ブラジル人スタッフとの信頼関係に基づいて、いま、プロジェクトは地域保健の枠を超えて、学校保健、栄養改善、アグロフォレストリーと広がっています。地域で暮らす人びとの生計や教育といった生活全体を健康の視点から支援しています。
途上国の人びとが主役となり自国の人びとの健康を守ることのできる仕組みづくりと人づくりをめざした活動は、インドネシアでも根付きつつあります。ホンジュラス、スーダン、エジプト、ケニアでもHANDSの活動が始まり、新しい仲間とともに、気長に仕組みづくりと人づくりに取り組んでいきたいと思っています。
これまで、HANDSの活動は、外務省、国際協力機構(JICA)、国連人口基金、(財)国際開発センター、(株)システム科学コンサルタンツ、トヨタ財団、(株)味の素など多くの企業や行政機関に支えられてきました。私たちはいま、単に国際保健医療協力の成果を発表するだけでなく、市民の方々、企業や医療機関の皆さん方とのパートナーシップのなかで、私たちが抱えているグローバルな課題も共有したいと考えるようになりました。
例えば、HANDSが主催した「第6回母子手帳国際会議」(2008年11月)では、母子手帳を途上国のお母さん方に配布するだけでは効果が乏しく、助産師や看護師が適切な指導を行ったときに母子手帳の効果が大きくなるという議論がありました。途上国で母子手帳プロジェクトを成功させるためには、農村や漁村にも母子手帳の使い方を説明できる人材が必要になります。「人づくり」と言葉にするのは簡単ですが、全国規模でそのような人材を育てるのは大変なこと。一つのNPOだけで完遂できる仕事ではありません。
企業が蓄積してきた人づくりや組織づくりのノウハウ、大学が構築してきた留学生や研究仲間のネットワーク、国連機関やODA機関が保有するグローバル課題に関する膨大な情報などを、お互いに共有できたとき、NPOとしてのHANDSの活動もより広い世界に羽ばたいていけると思います。
少しでもHANDSの活動に関心を持っていただけたら、どうぞ気軽に事務局までご連絡ください。皆様方の忌憚ないご意見やご助言を待っています。
特定非営利活動法人HANDS 代表理事 中村安秀
http://www.hands.or.jp/
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